リスボンは街頭に人が溢れ、さながらカーニバル。もし戦車や多数の兵隊の姿が無ければ革命だとは信じられなかっただろう。40年以上続いた独裁政権が青年将校達の決起によって脆くも瓦解したのだ。しかも兵隊は射撃命令にも従わず無血で目的を果たした。
民衆は歓喜した。展望のない植民地戦争。生活苦。閉塞を打破した兵隊に民衆は抱きつき、娘たちは花束を差し出していた。花束を受け取り、赤いカーネーションを銃口に挿した兵隊たちは誇りに輝いていた。
チェコの改革はソ連の戦車に踏みにじられ、ベトナム戦争は泥沼化。当時の政治状況の中で、この後にカーネーション革命と呼ばれる出来事は一種の奇跡だった。スペインの民主化に大きな影響を与え、ベトナム戦争の終結を予感させたのだ。あきらめてはいけない。世の中、そう捨てたものじゃない。
目的の大西洋岸を旅して帰って来たリスボンは坂道と犬の糞とファドの街に戻っていた。
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