2009年6月5日金曜日

兄貴

日曜に大人の遠足に行く明石には大切な思い出がある。
小学6年生の夏休み。2月に亡くなった兄貴が僕と一つ下の弟を連れて
海水浴に一泊で出かけた。そのとき兄貴は卒業を控えた大学生だった。
明石駅の改札をでると一人の女性が待っていた。それが翌年兄嫁になる
姉さんとの出会いだった。
明石フェリーに乗って岩屋の民宿に向かったのだが、この短い船の旅が
生まれてはじめての乗船だったのだろう。明石海峡の光景を今でも鮮や
かに覚えている。男兄弟の家庭で育った僕たちは突然現れた女性に有頂
天になり、兄をほったらかしにしてまとわりついたのだ。
年の離れた弟にもさりげなく婚約者を紹介し、間を取り持つためにバイ
ト代で旅を企てる。そんな兄貴の心配りに気づくには余りに遅い通夜の
夜だった。甥や姪に思い出話をせがまれ、海水浴の一件を話しながら、
今更ながら兄貴の想いに打たれた。いつまでたっても勝てないよ、兄貴
には。九十九里の浜に散骨された兄貴に明石海峡でありがとうと言って
みようと思う。

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