浜田文人著 公安捜査Ⅰ~Ⅲ ハルキ文庫
数ある警察小説の中で珍しい公安捜査官を主人公にした異色作だ。一般
にはその存在すらよく知られない公安の捜査をフリー記者出身の著者が
執念の取材を下敷きに描いている。
テーマはずばり北朝鮮。報道では知ることの出来ない裏面がリアリティ
豊かに筆写され思わず息を呑む。地下銀行、拉致、覚せい剤密輸、そし
て噂でしか窺えなかった政治家や官僚が利権に群がる姿。特に与党の大
物政治家の金庫から北朝鮮の刻印が入った金塊が発見されながら、政治
の介入によって握りつぶされるエピソードは印象的だ。戦後政治の闇は
深い。
今話題の核持込疑惑でも、米国外交文書の公開で疑惑とすら云えない状
況になっても従来の政府答弁を踏襲し続ける姿勢は国民を愚弄している。
政治責任を回避し、口先でごまかし続ける政治家の嘘には、いい加減う
んざりだ。いつになったら日本は近代国家の態を成すのだろうか?
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